日時:2018年10月13日(土)14:00-17:30
場所:南山大学B棟2階B21教室 ※入場無料・予約不要
第1報告
「〈よそ者〉どうしの倫理—カントの世界市民論から考える」
寺田俊郎(上智大学文学部教授:哲学、臨床哲学)
第2報告
「社会学的〈よそ者〉論の課題と展望
—社会学説史・在日外国人研究の知見から」
徳田剛(大谷大学社会学部准教授:地域社会学、災害研究、社会心理学)
第3報告
「〈よそ者〉を恐れる心」
土屋耕治(南山大学人文学部講師:社会心理学)
【司会兼討論者】奥田太郎(南山大学社会倫理研究所教授:倫理学、応用倫理学)
主催:南山大学社会倫理研究所
共催:上智大学生命倫理研究所
時代や地域を問わず、特定の社会やコミュニティでは、難民、移民(移住者)、ホ一ムレス、出稼ぎ労働者等、いわゆる〈よそ者〉をめぐって、しばしば深刻な対立や軋礫が生じる。それぞれに異なる文脈的背景と原因に由来するそうした事態を理解する際に、個々の問題状況を丁寧に踏まえることなく問題を過度に一般化することは、本来多様な属性を有する個々の存在に対して〈よそ者〉としてのステレオタイプな反応や忌避感を引き起こすことにつながる。実際、問題を十把一絡げに断ずる言説は絶えないし、それに対する対抗言説が奏功しないことも少なくない。まるで多文化共生的な掛け声と排外主義的な心性はコインの表裏であるかのようである。いずれにせよ、〈よそ者〉について倫理的に思考するための、個々の問題を包括的に見通すための視座が必要である。そこで本シンポジウムでは、〈よそ者〉と〈恐れ〉という視座からこれらの問題を捉え直し、その本質に迫ることを試みる。〈よそ者〉は時に歓迎され時に疎まれる存在であるが、〈よそ者〉が疎まれ恐れられる場合に、何らかの社会的軋鑠や問題が生じると考えられる。またそこでは同時に、〈よそ者〉自身が社会やコミュニティに対して恐れを抱いてもいるだろう。恐れは冷静な問題把握を阻害しがちであり、相手への敵意や暴力を生み出すことも少なくない。そこで問われるべきは、〈よそ者〉に(あるいは〈よそ者〉が)恐れを抱くとき、一体何について恐れているのか、そして、そうした恐れに対してどのように対応すべきか、ということであろう。より根本的に考えるなら、そもそも〈よそ者〉とは誰であり、人が自らを〈よそ者〉でないと自認するのはどういうことなのか、といった〈よそ者〉の境界問題も視野に入る。本シンポジウムでは、様々な形で問題化される〈よそ者〉をめぐる社会倫理について、哲学、社会学、心理学の観点から包括的に考察し、排外的な心性が見え隠れするかのような昨今の世界情勢にあって短絡的思考に陥らないための処方箋のありかを探ることを試みる。
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